非行の子の意外な素顔

「非行」は「怠け」?

学校は不登校気味、登校しても遅刻に早退は当たり前。まじめに勉強する気もないみたいで怠けているよう(怠学)。おまけに茶髪・ピアスなどの校則違反。先生がきびしく注意しても反発ばかり。家庭でも、起きればまずLINEのチェック。家にいる間はスマホ(LINE・Twitter)を手放さず、夜は夜遊び(深夜徘徊)の毎日で、不良ともつき合ってるみたい。こんな子がカウンセリングで良くなるのか・・。

非行非行傾向の子のカウンセリングを担当しますが、非行の子は他の不登校の子と違い、家に閉じこもっているばかりではありません。学校でも、先生から注意をうけても懲りずに悪いことを繰り返します。特にカウンセリング中に困るのは周囲から「親のしつけが悪い」「親が甘やかしている」と、子どもの非行や素行の悪さを親のせいにされることです。実際、「厳しくしてきたのに・・・」という親御さんがカウンセリングをお受けする中で大半を閉めているのです。では、なぜそんな子が非行に走ってしまうのでしょうか・・。それを非行のカウンセリングの視点で紐解いていきましょう。

学校や家庭で厳しくしても懲りないことから「非行=子どもが悪い」と判断なさることが多いようです。でも、非行反抗はあくまで仮の姿。ちょっと対応を変えてみると意外な面がでてきます。

長年のカウンセリング経験の中から、その一例をご紹介しましょう。

 

「強がり」は仮の姿。実はとっても「さびしがり屋」なんです

非行の子は、強い口調で注意したり長々と説教するとかえって反発ばかり。逆に、気軽な雰囲気で接してみると思いのほか気さくな面を見せることがあります。これは親にも教師にも言えることです。非行の子ほど相手にどう思われているかをすごく気にしています。おまけにさびしがり屋。学校や家庭に居場所がないと感じるととっても居づらくなり不登校や非行に走ってしまいます。気軽に話せる教師や友だちが学校にいる。これが何よりの再登校の動機づけであり、何よりの不登校防止策なのです。もちろん家族関係も同様です。いくら非行傾向が強くても家庭という場に居心地の良さを感じたり、気軽に話せる親子関係ができるとガラッと変わる子が多いのです。非行の子ならば、いま流行りの「LINE」を親子で利用するのも一つの手です。

 

見た目は「派手」。でも、内面はとっても「デリケート」なんです

オシャレや夜遊びにかける非行の情熱を少しでも勉強にそそいでくれれば・・。ところが、見た目とはウラハラに非行の子の中にも勉強の遅れや対人関係を気にしている子がけっこう多いのです。「勉強の進むペースが早くて追いつけなくなった」「先生の授業中の説明がわからない」「成績が悪いと、教室にいるだけで苦痛だ」。非行の子でも口が軽くなってくると意外とこんな弱気な言葉がでてくることがあります。また、いろんなことを気にするタイプですから「話の合う子がいない」「卒業したあとどうなるかわからない」と、対人関係自分の将来など、心配事があってもやもやしている可能性もあります。そんな子ならば非行に走ったり、不良と遊んだり、ゲームセンターに入り浸って、ワーワー騒ぐことで気持ちを紛らわせていることもあるかも。ただ、残念ながら、これは本質的な解決策にはなりません。本質的な解決にはカウンセリングという客観的な立場での視点やアドバイスが必要でしょう。

昔は「手のかからない」「良い子」だったんです

子どもさんの非行のカウンセリングの相談にこられたほとんどのご両親が口をそろえてこう言います。それは、今は非行でも、幼いころは良い子で、まわりの顔色ばかりうかがいながら行動してきたからかもしれません。カウンセリングを進めていくとわかりますが、「今日のお母さん機嫌悪そうだな」「勉強がわからないって言ったら怒られるだろうな」など、先に頭で考えてなかなか口にだせない子(特に男の子)が多いのです。言いたいことを言えずに悶々としている中、不登校非行(不良)など、表立って調子をくずすのは中学生の頃が多いようです。ちょうど勉強や友だちづきあいを気にしたり、むずかしくなってくるころですからね。当センターのカウンセリングも、中学生と高校生の非行のご相談が多く、「夏休みあけから不登校」はもちろん、部活動や勉強、それに対人関係などでいきづまった時に非行問題が急浮上し、あわててカウンセリングをスタートされるご両親が多いのです。

 

友だちの前では「明るくて人気者」。実は「気をつかってる」んです

非行の子は毎晩のように遊び呆けているようにみえて、内心「だまっていると嫌われるんじゃないか」「夜遊びや万引きの誘いをことわると陰で悪口を言われるんじゃないか」「ニコニコしてないと雰囲気をこわしてしまうんじゃないか」など、表面では突っ張っていても中身はガラスのハートということがよくあります。見た目には楽しそうに見えて、実はこんなことを考えながら非行仲間・不良の先輩たちと接している場合もあることをご理解ください。非行の子は常に「相手中心」「雰囲気重視」。これはカウンセリングをしていてもわかります。親の前では突っ張っていても、カウンセラーと二人きりになると素直に話し出す子が非常に多いのです。もちろん深夜徘徊や夜遊びが楽しい部分もありますが、非行の子の人づきあいは相手の合わせる分、意外とメンタル的に疲れるのです。気をつかわず気軽に遊びことができるし、嫌ならすぐに断ることができる・・こんな相手が一番リラックスできるのです。非行仲間でもつき合いの長い子ならば、気楽に接しているかもしれません。

 

「プライド」が高く、「弱音」をはいたことがない。だから、苦手や不安なことは避けたいんです

非行の子イコール「イヤなことからいつも逃げている」「苦手なことでも努力しようとしない」「調子のいいことばかり言ってぜんぜん実行しない」と理解している方も多いでしょう。実は、半分正解なのですが、意外と高い理想をもっているものの、自信がないとすぐにあきらめてしまうというのが正直なところでしょうか(現実逃避)。そんな時は周囲の大人(親・教師)の出番です。強がって反発ばかりしている非行の子でも、思っていることを正直に気軽に話せる環境をつくってあげるだけで行動力(意欲)がでてきます。もちろん、導き方はカウンセラーがアドバイスします。ちょうど水泳の息つぎのようにちょっとがんばってはストレスを吐き出す(家庭が非行の子の息抜きの場に!)。こうすることで継続力や忍耐力もついてきます。

 

<親御さんのタイプ>

「まじめ」で「正義感」の強いご両親が多いのです

非行の子の親御さんは、まじめで正義感が強いだけでなく、子どものことが心配で夜遊びから帰ってくるまで寝付けなかったり、食事がのどを通らない方もおられます。それほど子どもさんの逸脱行為(非行・不良化)が家族にとって一大事なのです。帰りが遅いと良からぬことばかり考えてしまい、心配が度をこして怒りに変わることも。ですから、子ども非行っぽい・不良っぽいというだけで親御さんを責めてしまうと家庭内の悪循環をまねいてしまい、ますます悪い方向にいってしまうことがあります。当センターに非行の相談に来所される親御さんは、どちらかというと厳し目に接してこられた方が多いのです。

非行っぽい子の意外な素顔

・・・ いかがですか。淀屋橋心理療法センターにもこのような非行の子どもさんのカウンセリング相談が多数よせられています。そして、どの親御さんも一日も早く解決したいという動機づけが強く、取りくみも非常に熱心です(当センターに相談こられる親御さん=熱心で正義感が強いと言っても過言ではありません)。一方の非行の子も周囲(親や教師)の対応次第で変化しやすく、解決までのプロセスがはっきりしています。学校にも家庭にも自分のことをわかってくれる人がいて、なんでも気軽にしゃべりやすい。これが何よりの安心材料であり、不登校の子なら再登校(安定登校)にこぎつける最短ルートなのです。

※ ここでご紹介した親御さんのタイプは、あくまで淀屋橋心理療法センターに非行や不登校の相談に来所された方限定です。すべての非行の子の親御さんが当てはまるとは限りません。

淀屋橋心理療法センター
所長 福田俊一
小川和夫(不登校・非行専門カウンセラー)